2012年8月26日日曜日

dOCUMENTA(13)

夏休みを利用して、5年に1度開催されるdOCUMENTA(13)を観にドイツのカッセルへ行って来ました。トリノのカステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館のチーフ・キュレーターをしていたキャロライン・クリストフ=バカルギエフが今回のディレクター。
主会場の一番最初の展示空間、ライアン・ガンダーの作品です。部屋の気圧が変えてあり、強い風が入り口から吹き込んでくるという作品。なにも展示しないというコンセプトを作品化するというのはイヴ・クラインの虚無展など今までにもあったと思いますが、気圧の変化によって風を吹かせるという間接的な手法はさすがライアン・ガンダーです。

カールスアウエ公園にあるピエール・ユイグの作品。女性裸体像の顔面に巨大な蜂の巣がこびりついており、一つの生態系を作り出しています。蜂がまわりを飛び交っていて、遠巻きにしか見ることができず、鑑賞者はまさにdOCUMENTA(13)のテーマの一つである「退却」をするしかありません。

また、今回はじめてティノ・セーガルの作品が体験できたのも良かったです。ティノ・セーガルは自分の作品をドキュメンテーションせず、作品の売買時にも記録を一切残さない作家。

暗闇のなかで数人のパフォーマーに、ケチャのようなダンスでまわりを取り囲まれました。暗闇に入りたての段階では周りが全く見えず、感覚が研ぎ澄まされる中でのパフォーマンスはやはり迫力がありました。クライマックスで瞬間的に電気を点けたり消したりする演出もかっこよかったです。他にもいろんなバリエーションがあり、ずっとこの場にいたくなる。長く暗闇にいると目が慣れてきて、ぼやっと人影がわかるようになります。

他にもオマー・ファストやジェラルド・バーンなど、興味深い作品などもありました。

町の中の図書館で展示されていたマティアス・ファルドバッケンの作品。駅や図書館など、社会的に機能している施設での展示というのも特徴的でした。

dOCUMENTA(13)を印象づけるロゴはデザイナー集団Leftloftによるもので、dは小文字、13はカッコで囲む、文字は黒、フォントは自由というルールで統一されているそうです。なんだかインストラクション・アートみたい。僕はショップでロゴの書いてあるマグカップを買いました。

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