2012年10月2日火曜日

ライアン・マッギンレー

2つのギャラリーで開催されたライアン・マッギンレーの展覧会を滑りこみで観てきました。

清澄での「Reach Out, I'm Right Here」で展示されていた作品は、エネルギーあふれる構図で撮影された大自然で裸の若者が自由を謳歌するロマンチックな写真。

ヒカリエでの「Animals」は裸のモデルと動物がカラフルな背景の前で戯れる写真。こちらも構図が面白い。「Animals」についてライアンはこう言っています。
「撮影セットの中でモデルが動物と打ち解けていく過程には、人間同士でのコミュニュケーションではめったに見ることのできない感情の真実が見えた。人間の方が、まるで動物たちがよじ登るための小道具のように見えて、とても面白かった」
小型ヤギの飄々とした表情がなんともいえません。この作品で確か70万円台、買えないけど欲しい・・・

マッギンレーはニューヨークから車で30分の郊外、ニュージャージー州ラムジー生まれ。8人兄弟の末っ子で、兄5人、姉2人の家庭で育ったそうです。自由でエネルギーに満ち溢れたライアンの作品には尊敬していた兄の存在が影響しているのかもしれません。
「兄はエイズで亡くなったんだ。僕がいちばん慕っていた兄で、ドラァグクイーンだったんだけど、小さな頃から彼のニューヨークのアパートに入り浸っていた。AZT(HIV治療薬)が今のように簡単に手に入らなかった頃で、それは、壮絶な死だった。僕はだから兄の分まで、自由で、爆発的で、エキサイティングな人生を生きて、たくさんの人に出会い、馬鹿げたアイディアを実行して、そのすべてを写真に撮って、世界中の人に見てもらいたい。だから、悲しみやみじめさはいらない。僕の写真の世界に、みじめな若者や孤独な若者はいないんだ。」